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中川 洋
低温生物工学会誌, 67(2), p.129 - 133, 2021/10
水分活性は、微生物の成長、酵素活性、食品の保存性や品質の指標となる。グリセロール水溶液は、そのグリセロール含有率を変えることで水分活性を制御できる。本研究では、非干渉性準弾性中性子散乱法を用いて、様々な水分活性におけるグリセロール水溶液中の水の拡散ダイナミクスを調べた。その結果、水分子の拡散係数が水の収着等温線と相関していることがわかった。
中川 洋; 味戸 聡志
低温生物工学会誌, 66(2), p.83 - 92, 2021/02
生体高分子の水和・脱水は、構造の安定化や生体機能の変化をもたらす。水和水の構造とダイナミクスは、生体系の水和・脱水過程を理解するために不可欠である。中性子はオングストロームオーダーの波長と熱エネルギーを持っているため、生体分子や水和水の構造やダイナミクスを観察できる。水素と重水素の中性子散乱断面積の差が大きいことから、生体高分子や水和水を選択的に重水素化することで、生体高分子や水和水からの散乱を強調することができる。非干渉性中性子散乱及び小角中性子散乱は、それぞれ、水和水のダイナミクスや水和殻の密度及び構造を調べることができる。日本では、JRR-3原子炉とJ-PARC加速器の中性子源で実験可能である。本総説では、中性子散乱法の概要とタンパク質の水和への応用について解説することを目的とする。